何十年かぶりの内見へ。行く前に考えていたこと(前編)
「ねえ、この物件ちょっと気にならない?」
ネットの新着物件を眺めていた妻の一言。これまでの私なら、聞き流していたはずです。ところが今回は、なぜか心に引っかかった。そして気がつけば、何十年かぶりに内見の予約を入れていました。
今回は、その内見に行くまでのお話です。同じように「今の住まいのままでいいのだろうか」と考え始めた方の参考になれば幸いです。
のんびりしていられなくなった理由
正直に言うと、これまで引っ越しはほとんど考えていませんでした。今の住まいに大きな不満があるわけでもなく、仕事も生活もそれなりに回っている。わざわざ動く理由がなかったのです。
ただ、ここ数年で状況は明らかに変わりました。
ひとつは、東京の地価の高騰です。ニュースで見るだけでなく、周囲の話を聞いていても、マンション価格の上がり方は以前とはまるで違います。「売るなら今」「買うなら早く」という声は、もう他人事ではありません。
もうひとつは、自分の年齢です。50代になると、住宅ローンひとつとっても、組める年数が限られてきます。「いつか考えよう」の「いつか」は、そう遠くない先に期限を迎える。これは実感として断言できます。
決めるかどうかは別として、まず見てみないことには始まらない。とにかく行ってみることにしました。
久しぶりの不動産屋とのやりとり
事前にアポを取っていた不動産屋の担当者から連絡があり、目的のマンションの前で待ち合わせることになりました。
不動産屋の担当者とやりとりするのは、ずいぶん久しぶりです。まずメールの文面から判断するに、第一印象は良い。丁寧で、押し付けがましくない。
もっとも、今どきはAIがありますから、印象の良いメール文などいくらでも作れます。フリーランスとして自分もメールの文面には気を使ってきた身なので、そこは冷静に見ます。それでも、最初の接点で感じが良いに越したことはありません。
約束の時間より早く着いて、街を歩いてみた
当日は、少し時間に余裕を持って家を出ました。目的の駅で降りて、しばし周辺を散策してみることに。
駅の近くには小さな商店街らしい通りがあり、表通りよりはやや静かな印象でした。休日のせいか、随分と落ち着いています。悪くない。通り道にはお寺や神社もあり、落ち着いた街並みです。
物件情報の写真や間取り図をどれだけ眺めても、この「街の空気」だけはわかりません。実際に降りて歩いてみて、初めてわかる。内見に行くなら、約束の時間より早めに着いて街を歩く。これはやっておいて損のない一手間です。
エントランスで感じた「管理の質」
目的地の近くまで来ると、おおよその建物の見当がつき、「ああ、ここだな」とわかりました。周囲の環境も良さそうです。
マンションの前では、担当者がすでに待っていてくれました。挨拶を済ませ、早速エレベーターで部屋へ向かいます。
意外だったのは、エントランスを入った瞬間の印象です。想像していたより、ずっと良かった。共用部が綺麗に管理されていて、宅配ボックスも新しい。
建物は、部屋の中だけを見てもわかりません。エントランスや廊下といった共用部にこそ、そのマンションの「管理の質」が表れます。長く住むことを考えるなら、ここは間取りと同じくらい大事なポイントです。
さて、いよいよ部屋の中へ。
何十年ぶりかの内見で目にした「何もない部屋」は、思いがけず昔のことを思い出させてくれました。その話は、後編で書きます。